ふっとぼーるを、気ままに…。

マンチェスターユナイテッドファン。好きな代表はドイツ、ドイツU-21。若手選手に無限の可能性を感じる。嫌いなクラブはとある白いクラブ。暇な時に読んで頂けたら嬉しいです。

ドルドムントが迎えたターニングポイント

 ユルゲン・クロップが今シーズン限りでの退任を発表した。2008年からドルトムントで監督を務めたクロップは、契約解除というあまりに不似合いな形でクラブを去ることとなった。モチベーターとして人気を博し、ドルトムントを経営破綻寸前からクラブを救い、ビッククラブの仲間入りに導いた彼の功績は、今後のドルトムントの歴史の土台となることは間違いない。

 それでも今シーズンは驚きと落胆の連続だった。大黒柱ロベルト・レバンドフスキバイエルン・ミュンヘンに引き抜かれ、代役としてトリノからチーモ・インモービレ、ヘルタ・ベルリンからアドリアン・ラモスアウグスブルクからチ・ドンウォンを迎え入れた。インモービレとラモスに関しては昨シーズン22点、16点と実績のあるCFだった。ところが蓋を開けてみれば、それぞれ現時点で21試合3得点、18試合2得点と期待はずれの結果に終わっている。ドルトムントのCFに求められるのは、ゲーゲンプレッシング含めの2列目との相互関係だ。ただシーズン序盤から新戦力の二人には、クロップ特有のスタイルを消化できなかった。そのためチーム全体での得点力アップに変更しようとしたが、最後まで完成系を見ることはなく模索し続けた結果となった。マンチェスター・ユナイテッドから復帰させた香川真司が、移籍前に比べ判断力が遅くなったりアイデアに乏しいプレーをしていたことも得点力の低下の一つかもしれない。マルコ・ロイス、ピエール=エメリク・オバメヤンなどの、香川にとっての「新顔」とのプレーに終始戸惑っていたような印象をうけた。もちろんバンドフスキの退団は1月の時点で決まっていたにも関わらず、タイプの違うFWを獲得したフロントにも少なからず問題はある。だが、戦術のバリエーションの乏しさや、敗北した前節からのチームの改善をシーズン通して解決できなかったクロップにやはり問題があるだろう。

 攻撃スタイルの変化は守備面でも影響した。チーム全体が得点力アップに傾いた結果、3列目とDFラインとの間に大きな穴が開き、あっさり得点される場面がよくあった。第19節、アウグスブルクのラウル・ボバディジャに打たれた一連の流れがよく反映しているかもしれない。

 改めて強調するが、クロップに対する批判は今シーズンだけのものであり、今後のドルトムントにも彼の財産が歴史を作ることは批判できない。監督を最後まで信じ、解任させなかったSDの判断は賢明なものだろう。

 後任はクロップと同じように1.FSVマインツ05での監督歴のあるトーマス・トゥヘルだ。クロップとは似て非なる監督だ。トゥヘルがフリーだったことは幸いだった。常に流動的なサッカーを好む彼がドルトムントを指揮することは、今のバイエルン・ミュンヘンにも厄介な敵になることは間違いない。クロップと同じように若手の育成にも定評があり、対戦相手の分析も欠かさない。選手歴はほぼないが、どこか新時代の監督になりうる雰囲気がある。

 移籍市場でテコを入れる必要があるが、それほど大幅な変化は必要ないように思う。選手の総入れ替えをせず、現スカッドに加えるだけで十分だ。個人的には4人加えたい。イルカイ・ギュンドアンが契約延長をしないと発表し、退団の可能性があるCMFにはマインツからヨハネス・ガイス。ギュンドアン同様、マッツ・フンメルスマンチェスターユナイテッドへの移籍が噂されているCBにはホッフェンハイムからニクラス・ジューレ、得点力をアップさせるため同じくホッフェンハイムからケビン・フォラント、あるいはアンデルレヒトからアレクサンデル・ミトロビッチを加えることができれば理想的だ。

 それでも新生ドルトムントには厄介な相手が多い。バイエルン・ミュンヘンはもちろん、ライバルのシャルケ04もだろう。ロベルト・ディ・マッテオシャルケ04には次世代の逸材が多く、覚醒すれば優勝も可能だ(カーン・アイハン、マックス・マイヤー、レオン・ゴレツカ、ルロイ・ザネ、ユリアン・ドラクスラー)。U-19シャルケは世界No.1に輝いている。

 そして今シーズン調子の良かった、ボルシアMG(、バイヤー・レバークーゼンヴォルフスブルクもそれぞれスカッドが充実し、ネクスト・ドルトムントにあとラストピースと迫っている。ブンデスリーガが世界No.1へと羽化をしている最中に、ドルトムントは一から歩み始めることとなる。想像以上に困難だが、非常に楽しみだ。